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その後からもう一人
長身でびっくりするほど綺麗なバーテン風の男が飛び出してくる。
「――キダリョ!キダリョラ!」
韓国語だった。
『待て!待てよ――』
学生時代に齧っただけだが、即座に頭が翻訳した。
理由は簡単。
こんなに酔っていても分かるほど彼が僕のタイプでその上――。
通りすがりにほんの数秒。
駆けてゆく彼と目が合った。
くっきりとした切れ長の瞳。
野性味のある目の光が僕を射竦め
「な……」
吸い込まれるように時間が止まって身がすくむ。
次に心臓が動き出すまでどれぐらいあったか知れない。
店の裏手。
先刻の2人が韓国語で激しく言い争う声がして
僕ははたと我に返った。
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