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やがて上を向いたまま捕らわれた少年の
細い指先が微かに痙攣する。
(あれって……マズいんじゃ……)
ぶらんとぶら下がったまま
身動きすらしなくなった彼を見てさすがに不安になった。
寒さのせいだけじゃない。
歯がカチカチ鳴って唇が震える。
看板の角を握る手に自ずと力が籠った。
教室内での諍いを止めるように
もっともらしく飛び出していけばいいのかもしれない。
(でも何て言って……)
僕が逡巡している間に
ほとんど宙に浮いた少年の身体はぶるぶると何度か震えた。
ほどなくして
(え……?)
光る水滴が彼の両足を伝って
その足元に小さな水たまりを作った。
漏らしたんだ――。
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