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「ぇ……なんで、……ぅ」
そんな風に言ってくれるとは予想もしていなかった驚き。そして、自分の想いが伝わった嬉しさと、好きな相手に望んでもらえる幸福。今まで知り得なかった感情を扱いきれなくて、感極まってしまったのかもしれない。
「こら、そんなに擦るな。傷になるだろ」
恥ずかしくて慌てて目を擦りまくっていたら、その手を椹木さんに強制的に止められた。
「っとに可愛いな、お前は」
笑いを含んだ声が優しくて、嬉しかったのに……。
「どうせ泣くなら……ベッドの上で泣かせてやるよ」
「っ……サイアク……エロオヤジだ」
俺の暴言にも椹木さんは楽しそうに笑っている。
「来いよ、深見」
だけど、促すように肩を抱かれたら、何も言い返せなくなる。このまま二人で、奥の扉をくぐったらどうなるのかわかっているのに。
知らないことは怖い。恥ずかしい思いをするのも嫌だ。……逃げたい。
それでも俺は椹木さんに導かれて扉へ向かった。……だって、もっとこの人が、知りたいから。
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