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「深見、お前今すげぇソソる顔してるぞ」
言いながら椹木さんは、唾液が垂れた俺の口の端を指で拭った。そして一旦身体を起こすと、着ていたシャツを脱いで床に投げ捨てる。筋肉で覆われた肉体を目にして、少し遠くへ行っていた意識が戻ってくる。
男らしい筋肉質な身体を前に、自分の貧相さをさらけ出すのはものすごく抵抗がある。
(……というか、こんなペラペラな身体見たら萎えるんじゃ?)
今更過ぎる問題点にい気づいて、俺は慌てて身体を起こした。
「……俺、女装とかした方がいい?」
「は?」
「だって、脱いだって萎えるだけだと思うし……女装とかしたらまだマシなんじゃないかと……」
椹木さんが俺に興味を抱いたのだって、きっとあの尾行でした女装のせいだから。
(これなら抱ける、みたいなこと言ってたし……)
正直女装なんて嫌だけど、椹木さんにがっかりされるよりは全然いい気がした。
「あのなぁ、確かにお前の女装は可愛いし興奮するけど、ただのきっかけだぞ」
「……え?」
「俺は素のお前が好きで、抱きたいって言ってんだ」
「抱き……っ」
告げられた直接的な言葉に固まる。
「お前の素っ裸で大興奮するとこ見せてやるから、早く脱げ」
「ぁ……ぅ、ちょっと」
ほら、バンザイと言われて半ば強引にシャツを剥がれる。
裸の肩を押されてベッドが揺れた。再びのしかかって来た椹木さんの鼻先が首筋に触れる。耳の付け根を啄まれて、俺は焦ったように名前を呼んだ。
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