第6章

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「さ、椹木さんっ……俺、さっき思いっきり汗掻いたから、その……汚いし……あんまり、吸ったり舐めたりしないで」  恥ずかしさを堪えながら告げると……。 「ひぁ!」  唐突に鎖骨のくぼみをべろりと舐められて悲鳴をあげる。 「確かにちょっとしょっぱいな」 「ゃだ、だから、やめてって!」 「どのみちこれから汗掻くし、そんなもん気にすんなって」 「気にするし!」 「俺は気にしない」 「ん……んっ、あ」  この話は終わりだとばかりに、椹木さんはわざと音を立てて首筋に吸い付き、舌を這わせた。 「かわいー声」  首筋から鎖骨を辿り、胸の突起に行き当たると、そこを攻め立て始める。くすぐったくて、むず痒くて、時々びりっと何かが走る。そして、その場所を触られていると、無性に居た堪れない気持ちになってくる。 「ごめ、ん……」 「ん?」 「胸とか、ないから……」  なんのふくらみもない硬い胸。触って気持ちよくもないし、楽しくもないだろう。 「はは、確かに推定AAカップだな」  椹木さんはからかうように俺の平らな胸を揉みしだいた……というか正確には揉むほどないのでこねた。 「椹木さん、好きだろ……巨乳」  俺に胸があったところで気持ち悪いのもわかってるけど。それでも好みとは正反対の平たい胸が今は悲しい。  すると椹木さんは苦笑して、俺の頭を撫でた。 「バカ。だから可愛いってんだよお前は……。年甲斐なくタガがはずれちまうだろ」 「ぁ……うっ……ん!」  突然強く尖りに吸いつかれて裏返った声を上げた。 「なんつーか今は、巨乳よりこのAAカップの方が興味あんな」 「ぁ……ぅ、んんっ」  舌先でくすぐるように刺激されると、さっきより甘ったるい声が漏れた。 「よしよし。感度良好だな」  赤く熟れ、ピンと尖ったその場所を、椹木さんが得意げに指で弾く。これ以上無様な声をあげるのが嫌で、俺は右手で口元を覆う。
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