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目を開けると、そこには目を疑わずにはいられない光景が広がっていた。見慣れない景色、見慣れない街並み、そして見慣れない人々。山に囲まれ煉瓦造りの家々が立ち並ぶこの場所は、あたかもヨーロッパに来ているかのようだ。しかし、ここはヨーロッパではない。ついでに言えば地球にある国ですらない。僕だってヨーロッパの街だと信じていた‥‥‥そこらじゅうを闊歩する者が人間だったならば。彼ら、彼女らは、一見して人間ではないことが分かる。なぜなら、耳を頭に付けている者や、尻尾を尻に携えている者など、人間ではありえない姿をしている者ばかりだったからだ。
「‥‥‥」
「‥‥‥‥‥」
「俺が読んでた『ラノベ』と全く同じじゃねぇか??え?え??てことはまさか俺ーーー」
もうお分かりだろうか?そう、俺は異世界に来てしまったようだ。
==
「ほんとに異世界ってあったんだ‥‥‥」
視界に映る全ての者が、人間ではない何か。耳があったり尻尾があったりするので、地球でいう『動物』に物凄く似ている。
それにしても、とても不思議だ。
雲ひとつない青空、綺麗な街並み。そしてその世界に当たり前のように存在している『動物』達。
行き交う者が人間であったならば、ここは紛れも無く地球の何処かなのだが、人間などいなく、『動物』達しかいないので、“絶賛不思議な気分を味わい中”である。
「おーいっ!そこの兄ちゃん!」
奇々怪界とした世界に一人突っ立っていた俺に、誰かが声を上げるのが聞こえた。
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