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そんなことを考えつつ、スーパーへ向かう最中……。
「ん?なんか音……」
傍の空き地からの、争うような音。
音のしたほうを向くと、そこにはあり得ないものがいた。
今まで見たことのないような、醜い姿をした化け物。
そして酷い死臭。
「なんだ……こいつら」
<凍てつく氷よ、闇をかてとしすべてを凍らせ!>
化け物を凝視していると、後ろのほうから、女の中二病じみたセリフが聞こえた。
そしてそのセリフとともに、突然氷が化け物を襲う。
「どうなってんの、これ」
もしかして、これが断悪か?
「大丈夫かい?!」
呆然とその様子を見ていると、いきなり声をかけられる。
声の主を見れば、女とは別の人物。
男は30代くらいで、眼鏡をかけた優男。どう見ても戦いには、向いていない。
一方、化け物と戦うのは、ゴスロリ調の服をまとった黒髪の美少女。こちらは、強気な印象を与える。
そして、その二人とは別に、ゴスロリ少女によく似た、宙に浮くこれまた美少女。
いったい、なんだというんだ。
なんだか、頭が痛くなるようなことばかりだ。
「あんたは、行かなくていいの?」
戦う少女をよそに、観戦を決め込む男に問う。
まぁ、答えなんてものは、この男の見た目からして想像がつくが。
「残念だけど、僕は攻撃する能力を、持ち合わせていないんだ。僕ができるのは、癒すこと」
「ふーん。ねぇ、このままじゃあの子……死ぬよ?」
俺の本能が、そう伝えていた。
彼女は、決して弱くはないのだろうが、相手の力には劣っている。
このままじゃ、死ぬ。俺の勘が、そう訴える。
「鈴ちゃん、今回は逃がして!」
俺の声に、ハッと少女の方を見た男は、声を張り上げる。
鈴と呼ばれた少女は、自分でも分が悪いと思ったのか、攻撃の手を緩めた。
すると、相手側としても戦いたくはないのか、にやりと笑って姿を消した。
その瞬間に、ふとある疑問が浮かんだ。
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