1.目覚めし断罪者は

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____今日はとてつもなく眠い。 すべては昨日のせいだ。 「やっぱスゲーな、紅月は」 「あぁ、天才って言葉が似合うよな」 「俺は天才じゃないよ。俺は知ってる、俺よりもっとすごい奴」 弓道の試合が終わって、三人でぶらぶらと歩く帰り道。 昨日のように、人が少ない路地裏から、繁華街へ向かうその途中____鼻をかすめる嫌な臭いがした。 “死臭” まさかと思い、俺はあたりを見渡す。 すると急に、真が何かを指差した。 「おい、あれなんだよ」 「酷い臭いだな」 「二人とも、後ろに下がれ!アレには近づくな」 思わず叫ぶと、魔物と対峙していたらしい、悠介と鈴華がこっちに気づいた。 それこそ昨日、名前こそは教えたが、もう二度と会うこともないだろうと思っていた相手に、こうもまた直ぐに会う羽目になるとは、思ってもいなかった。 「恭くん!?なんでまた」 「俺がききてーよ!ったく、なんで」 どうする、今逃げれば助かる。 俺には……こいつらがどうなろうと、関係ない。 二人を連れて逃げろ……動け。 動けよ、俺の足! ずきずきと頭が痛む。 脈を打つように、何かを訴えるように。 俺は……俺は今の日常を、壊したくはないのに!! 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 俺の耳に、真の叫び声が木霊する。 一瞬のすきを突いた化け物が、真の首に喰らいついていた。 大きな牙が深く突き刺さり、血があふれ出るのをみて……俺の中の何かがきれた。 「真!!」 いつも冷静な静の叫びが、後ろで聞こえる。 俺は気づけば体が勝手に動き、化け物に、己が持っていた刀で斬りつけていた。 流石に普段から持ち歩いてるわけじゃない、今日は何となく、嫌な予感がしたんだ。俺の嫌な予感が外れたことは、ほとんどない。だから、嫌な予感がしたときにだけ、この刀を持ち歩くことにしている。 それが、こんな形で役に立つとは思わなかったが。 俺は片腕を切り落とし、刀を持っていないもう片方の腕で、真を抱えた。
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