1.目覚めし断罪者は

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「真」 「あ……か……つき」 「大丈夫だ、真。俺が……助けてやる」 赤く染まる首元を見れば、その傷はすでに、致命傷となっていた。 血なんて慣れてるのに、真の血に____手が震えた。 真を静にあずけ、俺は殺気とともに、化け物に向き直る。 抑えきれない。 友達を、親友を、幼馴染を、真を傷つけた化け物と それを防げなかった、自分が許せなかった。 何度大切なものを失えばいい? 何度守りきれずにいればいい? 何のために____強くなったんだ。 まだ……強さが足りないとでもいうのか? 「殺す」 無意識につぶやく俺に、悠介の声が聞こえた。 「だめだ恭くん!力のない君じゃ、そいつは倒せない!」 「お前に、指図される云われはない。俺はこいつを……殺す!!!!!」 ふつふつとわきあがる殺気。 今の俺は……俺ですら止められない。 「紅月!」 「大丈夫……静は真の手、握っててあげて?」 「あ……ぁ」 無理して笑って、静を見れば、静も無理して返してきた。 俺は刀を握りなおし、化け物に正面から突っ込む。 「姉さん、彼は勝てる?」 「あら?興味があるのかしら?」 「別にないわ」 「ふふ、素直じゃないわね。____鈴華、手を出さずに見ていなさい。そうすれば……目覚めるわ」 「目覚める?」 失うのは…もう嫌だ。 俺がしてやれることは、なんだろ。 いや、俺がしてやれることなんて、一つしかない。 この力を……真の為に奮うだけだ。 「右腕……足……腹……背中……」 次々と俺は、斬りつけていく。 周りからは、手慣れたように見えても仕方がない。 ほんとはもっと、痛めつけてやりたい。 でもその時間も無駄だ。 何より……もう怒りが抑えられない。
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