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「お前の命……貰うぜ!最後……心臓だ」
刀で思いっきり貫くと、黒血が顔へと跳ね返る。
無残に消えゆくそいつを後に、もう一匹のほうに向く。
先程から、この化け物を見ていた、もう一人の化け物。
「何の力もない……人間が」
「彼は恭蛾じゃない……断罪者だもの。ふふ、面白くなりそうね」
「それより僕は、あの子の治療を」
「やめなさい、もう虫の息だわ。……誰にも助けられない」
「そうかい……いろいろと後処理を、しないといけないね」
「それはあなたの仕事でしょ?ほら……彼が目覚めるわ」
久しぶりの痛み。
こんな怪我をしたのは、いつ以来かな。
でも……真はこれ以上の痛みを、味わってるんだ。
「俺をここまで追い詰める奴は、久しぶりだ。さすが断悪。でも……許せないな、この俺に傷をつけるなんて」
でもどうしたものか、血が足りない。
「紅月……やめろ、もうこれ以上」
言いたいことはわかるよ、静。
大丈夫……大丈夫だから。
「俺は……死なないよ、静。もう少し、まってて」
負けられない、真の為にも。
死ねない、俺まで死んだら静は……きっと立ち直れない。
俺が今しないといけないのは、こいつをさっさとぶっ倒して、静を守ること……。
<ズキィ――ン>
っ、頭が……痛い。
<ドクンッ>
なんだ……?なぜかもう一つ、心臓があるような感覚。
くそ、なんだこんなときに……。
<思い出せ……時は熟したぞ……恭蛾>
誰だ……何を思い出せっていうんだ
<知っている、お前は俺を……知っている。今のお前は、俺を必要としている>
昔にも、こんなことがあった……?
なんだろ……聞いててこんなにも落ち着く声。
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