1.目覚めし断罪者は

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「お前の命……貰うぜ!最後……心臓だ」 刀で思いっきり貫くと、黒血が顔へと跳ね返る。 無残に消えゆくそいつを後に、もう一匹のほうに向く。 先程から、この化け物を見ていた、もう一人の化け物。 「何の力もない……人間が」 「彼は恭蛾じゃない……断罪者だもの。ふふ、面白くなりそうね」 「それより僕は、あの子の治療を」 「やめなさい、もう虫の息だわ。……誰にも助けられない」 「そうかい……いろいろと後処理を、しないといけないね」 「それはあなたの仕事でしょ?ほら……彼が目覚めるわ」 久しぶりの痛み。 こんな怪我をしたのは、いつ以来かな。 でも……真はこれ以上の痛みを、味わってるんだ。 「俺をここまで追い詰める奴は、久しぶりだ。さすが断悪。でも……許せないな、この俺に傷をつけるなんて」 でもどうしたものか、血が足りない。 「紅月……やめろ、もうこれ以上」 言いたいことはわかるよ、静。 大丈夫……大丈夫だから。 「俺は……死なないよ、静。もう少し、まってて」 負けられない、真の為にも。 死ねない、俺まで死んだら静は……きっと立ち直れない。 俺が今しないといけないのは、こいつをさっさとぶっ倒して、静を守ること……。 <ズキィ――ン> っ、頭が……痛い。 <ドクンッ> なんだ……?なぜかもう一つ、心臓があるような感覚。 くそ、なんだこんなときに……。 <思い出せ……時は熟したぞ……恭蛾> 誰だ……何を思い出せっていうんだ <知っている、お前は俺を……知っている。今のお前は、俺を必要としている> 昔にも、こんなことがあった……? なんだろ……聞いててこんなにも落ち着く声。
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