心の奥深く、鍵をかけて

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現在、俺―西川彰人(にしかわあきと)は、少し焦っている。 金曜日の夜、しかも飲み屋が立ち並んでいる歓楽街となっては、多くの人が行き来をしている。 そんな中を俺は足早に進んで行きつつ、左手に付けている時計に目を落とした。時計の針は19時50分を過ぎた頃を指している。 (…かなり遅れたなぁ) 心の中で呟き、人の波を掻き分けつつ、目的地へと俺は急いだ。 俺が目的地の居酒屋に到着した頃には、既に20時を過ぎていた。約束の時間から1時間は経過している。 (まぁ、連絡もしているし、大丈夫だろう) お店に入ると、俺は近くにいた店員さんに声をかけ、大部屋となっている1室の襖の前まで案内された。中からは賑やかな声が聞こえてきている。 俺はその襖を静かに開けた。 「お、やっと来たな」 「おせーぞ!彰人!」 俺の姿に気付いた奴らが声をかけてきた。 「仕方ないだろ。仕事が少し長引いたんだから」 そんな声に少し苦笑を漏らしつつ、俺は空いている席に腰を下ろしながら言った。 今日は高校の同窓会。といっても、高校3年生のクラスメイトのみの小ぢんまりとした同窓会だが。     
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