心の奥深く、鍵をかけて

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それから1ヶ月が過ぎ、俺はいつものように仕事に追われる毎日を送っていた。 今日も土曜日で休みのはずなのに、生憎の休日出勤。 帰社する頃には18時を過ぎていた。 (夕飯どうするかなぁ。家に帰って作るのも面倒だし、どっかで食べるか買って帰るかなぁ…) 今の会社に就職してからは、ここから2駅先の場所で1人暮らしを始めた。当初は慣れない家事に苦労をしていたが、最近は料理をするのも割と楽しいと思うようになった。掃除もマメにすることはできないが、苦では無くなった。 (まぁ、2年も1人暮らししていたら当たり前か…) そんなことを思いながら、駅へと向かった。 会社の最寄り駅は様々な路線が走っていることもあり、多くの人が利用をしている。 今日は土曜日ということもあり、普段より人が多く感じられる。 駅前には大きな桜の木があり、待ち合わせスポットとして利用されている。ただ、生憎今の時期はピンクの花ではなく、青く茂った葉が覆い茂っているが。 俺は何気なくその木の周辺へと視線を向けた。待ち合わせなのか、多くの人達がいる。 その中で、俺は1人の女性に目が止まった。 大勢の人達から少し離れた場所で何かしているわけでもなく、ただ地面を見つめながら佇んでいる女性。その背格好はここ最近で見覚えがあった。     
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