ぼくは勇者。

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「おい、ボンボン!ボールとって来いよ!!」 都会から転校してきた私に、田舎の風当たりは強かったようで。 少しやんちゃな同級生は、何かと私を目の敵にした。 「……やだよ。僕、ボール使わないし……。」 おとなしく取りに行っていれば、無用な喧嘩は避けられただろう。 それでも幼い私は、『田舎者』の言いなりになるのは嫌だった。 「なんだと!?……お前、新入りのくせに生意気だぞ!!」 そんな意地っ張りの私が、同級生たちは気に入らなかったようで。 ことあるたびに、数人が私のことを囲み…… 私は、しょっちゅうボロボロになって帰った。 (くっそー、まだまだレベルと強い武器が足りないか~) そんな負け惜しみを心の中で繰り返しながら、一人歩く帰り道。 そんな帰り道。いつしか私の視界に入るようになった『駄菓子屋』。 私は、何の気なしに、その駄菓子屋に立ち寄った。 (酒場で仲間探しだ!) ガラガラと、引き戸を開ける。 「あらあら、いらっしゃい!」 私が思い描く『酒場』とは程遠い、古ぼけた木造。 酒場のお姉さんはいない。 迎えてくれたのは、しわくちゃな老婆だった。 「あらあら……どうしたの?ずいぶん汚れて。膝なんてすりむいてるじゃない。」 その老婆は、初対面の私に、まるで初対面じゃないように話しかけてきた。
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