ぼくは勇者。

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「ボンボン!!ボール!!」 翌日。 変わらずクラスメイトからの声が私に飛ぶ。 足元に転がるボール。 昨日までの私なら、クラスメイトの言葉にむやみに腹を立て、無視して立ち去ったに違いない。 ーーー勇者は、本当にひとりで悪者と戦ったのかい?--- しかし、私にはあの老婆の言葉がずっと、頭にこびりついていたのだ。 大声を発したクラスメイトの少年の足元に向かって、そっとボールを蹴り返す。 「お……サンキュ……」 少年も、今回の私の行動に驚いたらしい。 悪態を準備していたその口が、たどたどしく感謝の言葉を口にした。 (勇者は……どうやって仲間を作った……?) 僕は、考えた。 「ね、ねぇ……僕も、混ぜてくれない?」 勇者は、名も知らぬ戦士とともにクエストを乗り越え、そして仲間を得た。 「おう……しかたねぇな。じゃぁこっちのチームに入れよ!ひとり少なくて困ってたんだ!」 少年は少しだけ照れくさそうに、それでも断らずに私を受け入れてくれた。 別に、勇者じゃなくてもよかった。 人との心の壁を取り払うのは、相手を受け入れる寛容な心と、少しばかりの勇気で充分だったのだ。 老婆の言葉が、それを私に教えてくれた。
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