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「いてててて...」 ゆっくり身体を起こしてみると、どうやら怪我はしてないようだ。身体だけは丈夫だから助かったな...なんて思いながらすぐ側に転がっていた自転車も起こす。 よし、自転車も無事だ...と安心したのも束の間、目の前には俺がぶつかったであろう看板...らしきもの。もうほとんど原型を留めていないぐらいに壊れてしまっている。 ど、どうしよう...と、とりあえず謝りに行けば許して貰える...のか?これ...よりによってこの通りの店の看板を壊すなんて...しかもこの店... 「うっせぇーな...って何だこれ.....」 そう言いながら店から出てきたのは金髪の長髪の男...だよな?髪も長いし肌の色も白いし、綺麗な顔をしているけど声が低かったからきっと男なんだろう。 変わり果てた状態の看板を見て呆然と立ちつくす男。 あ、謝らないと...と、俺が口を開こうとした時だった。 「あ、あのっ!!」 「これ、」 「へ?」 「これ、お前がやったのか?」 俺の声は目の前の男によって遮られてしまった。その声は冷静さを含んだもので怒っているのか、それとも怒りを通り越して落ち着いた声なのか...どちらにしても綺麗な顔の無表情は感情が全く読み取れなくてとてつもなく恐ろしい...。 「あ、あぁ、まぁ...あの、本当にっ」 「お前、歳いくつだ?」 「へ?」 予想外の男の質問に本日2回目の間抜けな声を出した。 「何歳だって聞いてんだよ。」 「20歳ですけど...」 「ってことは学生か?」 「はい、SM大学の2年です...」 「ふーん、」 そう言うと男は店のドアを開けて 「まぁ、とりあえず中に入れよ。話はそれからだ。」 なんて言うから、あれ?もしかして全然怒ってないのか?なんだ...この人すっげー心の広いイケメンじゃん。とりあえず講義には遅れるけどとにかく授業には出られそうだし、後から謝りに行けば...なんてホッとした俺は本当に馬鹿だった。 「あ、あの俺...授業が...」 「あ゙ぁ?」 絶対零度の冷たい視線と地を這うような恐ろしい声...何が怒ってないかも!...だよ。 「す、すみません...何でもないです。」 どうやら今日の俺はとんでもなくついていないらしい。
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