だから、ありがと。

あのね

「……ね。幸せって、積み重ねだと思うの。」

「なに、いきなり……」

「…あのね。」

あなたが、いる。
あなたがいて、私がいる。
今この瞬間。

こんな時間の積み重ねが、
幸せ、なんじゃないかなぁ。

いきなりごめん。わけわかんないよね、あはは。

…だからね、
いつ何が起きても、私は幸せなの。
たとえ明日あなたが死んでも、…私が死んでも。
幸せは変わらないの。

…あなたと出会えて、よかった。
私、幸せだよ。

………ありがとう。

ねぇ、なんで何も言ってくれないの。
こっち向いてよ。…ねぇってば。

…じゃあ顔見ないから、何かしゃべってよ。
あれ？…怒った？

死なないよ。

だって、まだ…温泉旅行…行ってないし、…海外旅行も行ってないし…

旅行行きたいの。

…いく。両方。シーもランドもいく。

……ぷろぽーず？結婚してくださいって言うやつ？

夢の国でやるの？

…え

「お前今にもどっか行っちゃいそうだから。…今。ほら、手、出して。」

「な、なんで」

「なんでじゃなくて。はい、って言えばいいの。」

「でも」

「でももだめ。…ほら、返事は？」

「だ、だめだよ…わたし」

「なんだよ、俺じゃだめなの？ちゃんとした指輪だよ？」

「っ…な、なんで」

「だからなんでじゃなくて。…結婚、…俺と、結婚してください。」

「……………」

「…よし、泣いたな。これでおあいこな。」

「…ぅ……ずる……」

「ずるいのはそっちだろ。いきなり…」

「い、いきなりはそっちじゃん。…指輪とか……」

「…返事は？」

「…………ごめ」

「んー？きこえないなぁ。」

「……こんなの…選択肢…無いじゃん……」

「はいかイエスで答えていいよ。」

「……ばか。」

「ほらもう面会時間終わっちゃうから、はやく。」

「……もう1回……」

「欲しがりだなあもう。……一生一緒にいたい。僕と結婚してください。……おいにやにやしてんの見えてるぞ。」

「…っ……ん……する……っ…」

「やっと…俺のになった……」

「…なにそれ……最初からそうだよ。」

「対外的にも？もう誰にも取られる心配ないじゃん。俺の妻です、って言えるし。」

「…ぎゅ、して。」

「ん。」

「………………」

「…また来る。ちゃんと寝ろよ。」

「………うん。」