いずみ

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今まで生きてきた中でいろいろな人間を見てきたが、ここまで人を見下した態度ができる男もなかなかいない。 しかも、彼女が横にいるにもかかわらずだ。 いや、彼女が横にいるからこそなのかもしれない。 男はいつだって見栄や虚勢を張りたがる。 彼らのやり取りに興味を覚えた私は、手の上に乗せていたあごを持ち上げた。 視線を4人に向ける。 「だいじょうぶです。他のボタンは触りません。シャッターを押すだけですよね」地味な彼の対応は大人だ。 上司の嫌みに反抗する部下というわけでもなければ、嫌みを含んだ返答でもない。 好感が持てる。 「ああ、頼むよ」 「わかりました」
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