音楽の泉

いずみ

５歳になった奏が、庭で遊んでいるのが見える。

それをベランダの上から見るのが何よりの楽しみだ。

奏はこの前庭の倉庫を漁って、あの時歌を作るきっかけになった空き缶を探し出してきた。

私はあの空き缶の中に、あの歌の歌詞と楽譜を一緒に入れてしまっていたので、奏は読めない漢字が混ざっている歌詞よりも楽譜の方に興味を示し、「この記号は何？」とか、「この線はどういう意味？」と事細かに質問してきた。

直紀に似て音楽が大好きなんだろう。