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もう一人の男子生徒は、肌はきれいであるが線が細い。
背も平均よりやや低い程度で、唇がやや厚く、短髪の子に比べれば地味な顔立ちだ。
「また春だな」長身の彼が言う。
「もう春だね」
「今年はあの人とここに来ている予定だったんだけどな」
長身の彼はため息を吐くようにつぶやく。
「おれじゃ不満?」
「不満はないよ」
「なら、いいじゃない」
「なんでおれは今お前とここにきているんだ」
「それを不満っていうんじゃないの?」
「違う、ただの疑問だ」
背が低い方の彼は、桜の木を見上げていて、二人は視線を交わすことなく、会話を行っている。
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