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ようやく気持ちを落ち着かせ、現状把握ができ、改めて落胆した。 ミナがいなくなったことを。 言葉にならない感情が奥からグッとこみあげる。 夢を諦め、ミナもいなくなり、僕には何にも残っていない。 地元を離れ上京したこと自体が失敗だった。 もうこれ以上、関西にいる意味はない。 誰から言われたわけでなく、自分から、心の底から帰りたいと思ってしまっていた。 何もない薄暗い四畳半の空間が、立ち竦む僕の目に入り込んでくる。 これが現実。 目をつぶっても、目の前の光景が瞼に焼き付いていて、もう一度開いてもやっぱり同じ光景が広がっている。 「もう、無理だ。」 言葉と同時に涙が頬を伝った。 何の涙かは自分が一番理解している。 終わりだった。 「あんた何してん?」 玄関から声が聞こえ、振り返ると背の低いおばさんが立っていた。 暗がりでもわかるほど赤いエプロンを首から下げて、手にはジャラジャラと鍵を持っている。 「あ、もしかして吉岡さんの知り合いかいな?」 おばさんはそう言いながらずかずかと部屋の中に入ってきて僕の前で立ち止まった。 「あ、えっと、。」 すぐに頬の涙を拭いながら、おばさんと向き合った。 「勝手に入られたら困るわ。知り合いやとしても通報すんで。もうあの子この部屋手放しとるんやから。」     
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