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石投げならば、体格や腕力的に劣る子供でも、十分大人に勝てることもあるだろう。
案の定、
「まぁな。」
「ホント、凄いですねぇ。武芸といい学問といい、なんでも人より秀出てお出来になるって、クリスタ様やエーミール様がおっしゃってましたけど、そんなことまで得意だなんて。」
思わず尊敬の眼差しを注いでしまう。
王子なのだから、と言ってしまえば当然なのかもしれなかったが、それでもそうしたものがなんの努力もなくできるはずもないことは、エリカにも十分想像できたから。
(努力してるんだよね?)
夜の静寂の中、ふと目が覚めた時に、隣で眠っていたはずのラファエルの気配がなくて、どうしたのかとベッドを抜け出して、覗き込んだ隣室の書斎で、ランプの灯を傍らに書物を読むラファエルを何度も発見したことがある。
邪魔をしてしまわないように、あえてそんな時には、エリカは彼に声をかけることは遠慮していたけれど。
「俺は、準優勝だったけどな。」
「やっぱり!」
だが、歓声をあげたエリカをよそに、ラファエルの顔は不思議に得意げではなく、どこか苦いものを含んで昏く沈んでいるように見えた。
(優勝じゃなかったから?)
「優勝は、俺と一緒に祭りに参加した兄貴だったな。」
「お兄、……様?」
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