07.蜜月

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 「ああ、お前も知ってんだろ?マティアス。昔から、俺は、同い年のあいつに今一歩で勝てねぇんだよな。」  「さってと、ソロソロ帰るか。」  高かった日も、いつの間にか中天を外れ、そろそろ肌寒さを感じる頃合になっていた。  「あ。」  ラファエルが放して自由にさせていた馬を呼び寄せるために、彼女のそばから離れてゆくのをなんとなく見守って、ふと木々の合間、生い茂った葉の隙間から、色鮮やかな小鳥が顔を覗かせているのにエリカは気づいた。  「どうした?」  馬の轡を引いて戻ってきたラファエルを振り返って、鳥の方を指差す。  「とても可愛らしい小鳥が。」  「ああ、パパガイ(※オウム)だな。この辺じゃ珍しいが、アトリウムから逃げ出したヤツかもな。」  「温室のって、南国の鳥ってことですよね?逃げ出してしまって、生きてゆけるのですか?」  「どうだかな。」  肩を竦めたラファエルは、あまり関心がなさそうだ。  もし、死んでしまうようなら可哀想だが、自ら逃げ出して野性化してしまったものを、どうにかしてやることなどできはしない。  (しょうがない、か。)  「あれも教えれば、けっこう人間の言葉を憶えるらしいぜ?」  「え?そうなんですか?」  「ああ、けっこう達者に喋るみたいだな。」  「へっえ~っ。」     
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