復讐者の牙(ファウスト)

11/11
770人が本棚に入れています
本棚に追加
/149ページ
 そうなると、隊員に警戒されないように入り込み、話しを拾う必要がある。暗府ならばそういうスキルもあるが、騎兵府でそのような事が出来る者は限られる。  だが、そういうスキルを持っている者を、ファウストは知っている。 「正直、難しい状況です」  オーソンが肩を落とす。だが、ファウストは微かに笑みを浮かべてその肩を叩いた。 「不本意だが、こういう事に長けた奴を連れてきている。正直、ここまで事が面倒でなければ巻き込むつもりはなかったんだが…こうなっては仕方がない」 「巻き込むとは?」  驚いた顔をしたオーソンに、「後で紹介する」とだけ言って、ファウストは溜息をつく。そして同じように苦笑するウェインに、一つ頷いてみせた。
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!