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食堂の風景はどこもあまり変わりない。人の活気で溢れている。
王都部隊の誰よりも先に来たランバートは、辺りを見回した。
数人のグループができていて、近寄りがたい雰囲気を作っている。この中のどこでもいい、様子を見て近づいて行ければ難関を抜ける。
だが、ランバートの姿を見た者は逃げるように傍を離れていってしまう。明らかに余所者と分かるランバートを受け入れる雰囲気はどこにもないように思えた。
弱った。
そう思っていると、不意に後ろから服を引っ張る人物がいる。驚いてそちらを見ると、ひとりの青年が目を輝かせてランバートを見ていた。
「そんなとこに突っ立ってても、飯が逃げるだけだよ」
「あぁ、うん。えっと…」
突然すぎる出会いに戸惑っていると、青年はランバートに手を差し伸べる。握手を求められ、ランバートはすぐに笑みを取り戻した。
「俺、一年目のピアースって言うんだ。あんた、王都の人だろ?」
「あぁ、ランバートだ。俺も一年目だよ」
「そうなのか! なんか、すっごく落ち着いてるから先輩かと思ってドキドキしたぜ。なぁ、一緒に飯食わないか? 俺、いつか王都に行きたいんだ」
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