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驚いているオーソンを背後からせっついて扉を閉めたウェインも、同じように紅茶に手を伸ばした。
「オーソン、先に紹介しておく。ランバートだ」
「改めまして。ランバート・ヒッテルスバッハと申します」
深々と頭を下げたランバートに、オーソンは更に驚いた顔をした。
「王都にヒッテルスバッハの子息が入団したとは噂で聞いていたが、まさかこんな形で会う事があるとは」
「それほど驚くことではございません、オーソン様。四家の人間なんて、珍しくはありません。実際、ファウスト様だってシュトライザー家の人間です」
「いや、それはそうだが…」
困ったような顔をするオーソンに紅茶をすすめたランバートは、全員が席についたのを確認して自分も空いている場所に座る。
それを見届けてから、ファウストは厳しい視線をランバートに向けた。
「どうだ?」
その一言で通じるだろう。多くを言わなくてもいい相手は楽だ。
ランバートも理解しているように頷いて、全員を見回して口を開き始めた。
「ピアースという人物と、その周囲の数人に接触できました。商家グループだそうで、けっこう話し上手の気のいい奴らです」
「早速とはすごいね、ランバート。やっぱり巻き込んで正解」
「どうせなら最初からそうして下さると良かったのに」
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