密かな夜会(ファウスト)

2/7
770人が本棚に入れています
本棚に追加
/149ページ
 驚いているオーソンを背後からせっついて扉を閉めたウェインも、同じように紅茶に手を伸ばした。 「オーソン、先に紹介しておく。ランバートだ」 「改めまして。ランバート・ヒッテルスバッハと申します」  深々と頭を下げたランバートに、オーソンは更に驚いた顔をした。 「王都にヒッテルスバッハの子息が入団したとは噂で聞いていたが、まさかこんな形で会う事があるとは」 「それほど驚くことではございません、オーソン様。四家の人間なんて、珍しくはありません。実際、ファウスト様だってシュトライザー家の人間です」 「いや、それはそうだが…」  困ったような顔をするオーソンに紅茶をすすめたランバートは、全員が席についたのを確認して自分も空いている場所に座る。  それを見届けてから、ファウストは厳しい視線をランバートに向けた。 「どうだ?」  その一言で通じるだろう。多くを言わなくてもいい相手は楽だ。  ランバートも理解しているように頷いて、全員を見回して口を開き始めた。 「ピアースという人物と、その周囲の数人に接触できました。商家グループだそうで、けっこう話し上手の気のいい奴らです」 「早速とはすごいね、ランバート。やっぱり巻き込んで正解」 「どうせなら最初からそうして下さると良かったのに」     
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!