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新たな被害者
厨房に残っていた専属のコックたちに事情を説明して了承を得ると、ランバートは手早く四人分の夜食を作った。
サンドウィッチを数種類と、サラダとスープ、油を抑えた肉料理も少々。
それらをトレーに乗せて行こうとした時、背後で何かが動く音がした。
思わず剣に手をかける。厨房のコック達は既にいない。最低限の明かりだけで、周囲は薄暗い。
当然、今起こっている襲撃事件を警戒した。だが、音のした方にいたのはまったくそんな事件とは無縁そうな人物だった。
「君は…」
小柄で、見た目にも細い隊員だった。
薄い銀色の髪に、大きな青い瞳が夜目にも目立つ。
怯えきった顔をしてランバートを見た彼は、急いで逃げようとして派手に転んだ。
「大丈夫か?」
慌てて近づいて手を差し伸べる。彼はそれにすら怯えていて、全身で逃げようとしている。
「そんなに怖がらなくても大丈夫だ。俺は何もしない」
「あの…」
「こんな時間に何をしているんだ? 厨房なら、もう誰もいないけれど」
「あの、貴方は?」
「俺はオーソン様に頼まれて夜食を作っていたんだ。厨房のスタッフにも了承を得たよ」
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