【     始まり      】

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『ガラガラ』と戸を開けると、いつもの教室に、いつものクラスメイト。 俺の姿を見るなり、真っ先に話しかけてくれるのは女子達。 『 「おはよう志波姫君♪」 「志波姫君おはよう♪」 「おはよう」 』 俺は何も言わずキメ顔で軽く手を挙げ挨拶を返す。そうクールに。 すると女子達はこぞって楽しそうにヒソヒソとおしゃべりをする。 「なんかイケてるよねぇ♪」 「クールよねー♪」 「彼女とか居るのかな?」 「聞いてみたら?」 「え~ 私が~ そんな勇気ないよぉ~」 「「「アハハハハハハ♪」」」 などとはしゃいじゃってまぁあ見てらんない。 俺は聴こえていない振りをするが、しっかりと聴き耳は立てていた。 イケてると思うなら、挨拶だけじゃなくもっと話しかけて来て欲しい。 こっちはそれを待っている。俺は受け身な性格な故に話しかける事が出来ないのだから。 クールを装っているけど本当は皆とワイワイはしゃいでバカなことやって盛り上がりたいのだ。 そんな思いを胸に潜めてとぼとぼと歩いていき、窓側の後ろから二番目の席に着く。すると、少し遅れて斜め前の席に女子生徒が座り、振り返り様に笑顔で挨拶をくれた。 「おはよう。リョウタ君♪」 透き通るような声に心拍数が跳ね上がる。 
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