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ブロンズの長い髪を靡(なび)かせ、【 耐攻防増力(たいこうぼうぞうりょく)スーツ 】と呼ばれる全身コバルトブルーのスーツを身に纏、おっとりとした顔立ちの彼は、俺の肩をポンポンと軽く叩いた。
因みに俺も含め、皆この格好である。
この人の名前は【 東條(とうじょう) ハンペイタ 】発音はハンペータと伸ばしてほしい。
彼は俺のお目付け役で、案内人みたいな者とか何とか……。
戦いが始まる前に、そう説明された。
俺はメットに取り付けられたシールドをカシャッと上げる。
「東條さん。セカンドとか地位とかそんなん良いから、〝 例の件 〟忘れないで下さいよ」
と、念を押した。
東條はそのままの笑顔で。
「勿論です。約束は必ず守らせます。その為には後、四機を倒さないといけませんよ」
と俺の背中をとんと押す。
それが聞ければ満足だ。俄然やる気も出て心も躍る。
「じゃあ、急ぎましょう。夢の為に」
「はい。急ぎましょう。明るい未来の為に」
固く握手を交わした後、東條は再びメットを被った。
俺達は、新たなガシャコンマシーンを求め、ガチャガチャ聞こえる別の場所へと向かう事にした。
「いたいた♪」
北東に足を進める事、数百メートル。今まさに味方がやられそうだ。
味方と言っても、この世界に来たばかりの俺にとっては、これっぽっちの面識はない。
同じ国と言う事で、共に戦っているけど、俺とこの人達とでは根本的に戦う動機が違うのだ。
俺から言わせてもらえばこの人達はただのモブキャラだ。
今度の機械兵はさっき倒したのとは形状が若干異なり、両手が高速で回転するチェーンソ―の刃になっている。
青白く輝く一つの目が、モブキャラAを捉えている。
転んでしまったモブキャラAに気を取られている機械兵は、俺がすぐ近くまで来ている事に気付いていない。
「絶好のチャンス」
その隙に、背後から一番細い胴体部分を狙い、思い切り叩き割った。
下半身部分は仁王立ちしたままで、胴体だけがゆっくりと氷河のように崩れる。
地に落ちた手と腕と頭部は繋ぎ目からバラバラになった。
何とも気持ち良い。これは冬の季節に薄氷をパリパリと割る感じによく似ている。
「…………」
無様に尻もちをついているもぶキャラAは眼を見開いたまま茫然としていた。
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