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触れ合う手と手、スーツ越しに密着する体、その感触……それはもう最悪でぇ。
何も知らない人が見た人はどう思うか……完全に誤解されてしまいそうだ。
視線を感じ、何気なく東條の方へと目を向けると、東條の顔は青ざめ、口をパカッと開き、魚の目のような、まん丸な瞳で傍観していた。
こいつ……完全に誤解してやがる。
「違うからね!? 何その顔! 始めから見てたよねっ?」
声を荒げると東條は右手を口で塞ぎ、うつむいて目を逸らした。
「ふざけんなよ! おかしいから! 絶対おかしいから!」
つうかこのおやじも何時までくっついているんだよ。ったく。
「後は俺達に任せて、あなたはそこで休んでいて下さい」
Aを突き放すように距離を取る。
そして、ぶつぶつと何か言っている東條の元へ歩き「早く行きましょう」と一言。
彼は眼を合わせないで一度頷き、俺の肩をポンポンと二回叩いた。
「なにそのよそよそしさっ!?」
すげぇムカついた。
「……………………………………………」
「……………………………………………」
一言も喋らなくなった東條。
何故か突然訪れたよそよそしい空気の中、俺を先頭に新たなガシャコンマシーンの所へ向かう。
その最中、何度も東條の様子を覗おうと振り向くが、眼、どころか、顔すら背けて合わせないようにする。
(こいつ、ほんとムカつく!)
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