大好きな莉子先輩

41/69
431人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
「それでね、彼氏が退院のお祝いに好きなバッグを買ってくれるって。ありさ早く顔の傷治して、めっちゃきれいになって帰るからね~って」 浮かれたように話す、ありさの声が病室内に響く。 「いいなぁー。ありさの彼氏はお金持ちで」 本気で羨んでいるような、お友だちの声。 ありさの彼氏って、何歳なのだろう? 「普通のサラリーマンだけどね。梨乃は大翔君とどうなったの?」 「どうって、まだ三回しか会ってないし。でも、この間キスしてもいい?って聞かれてビビッたぁ〜」 「 まだキスもしてないの。ありさなんて一回目のデートで本番までいったよ~」 「えーっ、マジで。そっかぁ、でも痛いんでしょ? それって……」 「はじめての時はね、めっちゃ痛いよぉ。もう早く終われ~って感じ。全然、気持ちよくない。でも今の彼氏はおっちゃんだから超やさしくしてくれる」 とても小学生に聞かせられるような話ではない。   しかも間違いなく犯罪だ。 「ありさちゃん! お友達とはデイルームのほうで話して!」   仕切られていたありさのカーテンを少し開けて、きつい口調で注意した。 スチールの椅子に座っていた三人のお友達が、ムスッとして私をにらみつけた。  
/330ページ

最初のコメントを投稿しよう!