プロローグ

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「ぼ……ぼ……僕の名前は……は……は……はやっ……林っ……」 「林さん、慌てなくて大丈夫ですよ。 まずは落ち着いて会話が出来るようになるまで練習しましょう」 「……は……はい、すみません」 私の正面でガックリと肩を落とす黒縁眼鏡の林さんは、我が社が運営する婚活サイトに登録してから早3年が過ぎた。 しかし毎度調子で婚活パーティーへの参加を積極的に行っていても指名ゼロという問題児……もとい、お得意様である。 「ではいつものように、私の声に続いてくださいね」 「……は、はい」 「趣味は釣りと、インターネットです」 「しゅ……しゅ……趣味はつ……つ……釣りとインターネットです」 「そうそう、その調子」
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