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「本当に……傲慢オヤジですね」
情けないけれど、こんな口ごたえしか出来ないのは、ゴッド湊の瞳があまりに冷めていたからだ。
私だけが気持ちをかき乱されているようで。
この男は、表情ひとつ変えることなく私に言った。
「傲慢と思われようが、嫌われようが構わない。
それでも俺は、浅野奏水を正真正銘の恋愛マスターに育ててやるつもりだ」
「……どうしてそこまで……」
「俺はもうじき、この会社を辞めるからだよ」
「えぇっ?!」
驚きで言葉を失くした私の頭に湊さんの大きな手が置かれる。
「だから俺を信じ、俺の全てを学べ。そして俺だけを見てろ」
真正面で囁かれた言葉で微かに胸が鳴ったのは、きっと湊さんの向こうにある輝く夜景のせいに違いない。
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