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カランカラン――。 扉を開いた時になる、どこか懐かしいその音が、僕は好きだ。 「いらっしゃいま……。あれ?また来たの」 どこか呆れたようにそう言った彼女は、僕を窓側の席に案内した後、 「はいっ」 と水を出し、ふーっとため息をついた。 「ちゃんと学校行きなさいよ。不良学生」 「美緒だって、学校行ってないじゃないか」 「私は義務教育をちゃんと終えて、“高校に行かない”って言う選択をしたの。親にお金出してもらって毎日さぼってる和希と一緒にしないでよね。 マスター、モーニングセット、ホットのカフェオレで」 美緒のその声に答えるように 「はーい」 と厨房からマスターの声が聞こえた。 「まだ何も言ってない……」 「それしか頼まないでしょ」 そう言うと、美緒はスタスタとカウンターの中へと入っていった。
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