2人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
それからも和希の一時帰宅の時は、私たち夫婦と柚希ちゃんと四人でごはんを食べに行ったりしてね。
私たちにとっても和希は本当に可愛い息子のようで、柚希ちゃんも仕事の収入が安定してきてもうすぐ和希を連れて帰れるかもって喜んでたの。
そんな時にね、交通事故にあって、柚希ちゃんはケガの影響で不自由な生活を強いられることになった。
仕事も辞めなくてはいけなくなった。
それでも彼女はご両親に連絡しようとしなかった。たぶん、意地になっていたんだと思う。
私たちを入院先に呼んだ彼女は、泣きながら頭を下げて
「和希を引き取ってほしい。和希に普通の生活をさせてあげたい」
と言ったの。
私たちも突然のことで悩む部分もあったけれど、やっぱり和希がかわいいって気持ちが勝って、そのお願いを了承した。
その時に、柚希ちゃんに言われたの。
「和希には私のことを黙っていてほしい。ひどい母親だって思ってくれた方が、大事にしてくれる二人を本当の親だと思える気がするから」
って。
だから今日まで、和希に柚希ちゃんのことを言うことができなかった。
それがますます和希を傷つけることになるなんて。
本当にごめんなさい。
最初のコメントを投稿しよう!