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その話を聞いてから僕たちは、店のドアが開く音に少しだけ敏感になっている。 カランカラン―――。 耳慣れたその音に僕たちは反射的に声を送る。 「いらっしゃいませ」 「あの表の看板を見て……」 コーヒーと柚子の香り。 そしていつもと変わらぬジャズ音楽。 その音楽と重なるように、マスターの小さな鼻歌が、僕の耳にそっと届いた。
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