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スマホの画面を忙しなく操作してネットのサイトを行き来しているのは柊 彼方。
男っぽい名前だが立派な女子高生。
『仮面病』と検索すれば有り触れたそんな情報しか出てこない。
仮面病の兆候として、普段しないことを無意識のうちにしてしまう、というものがある。
有難いことにそれは発病の3ヶ月程前から起こり始める。発病した後は1週間しか時間が無い病気なのだから3ヶ月も前に兆候があれば何かしらやり残した事をやる事は出来る。
彼方はそんな仮面病の兆候が出てしまった1人だ。
仮面病発症者は過去の初めて見つかってからの数年の間に13000人ほど。その中で治った者は3名。
奇跡の完治者と呼ばれるその3名は口を揃えて「完治はしていない」と言うらしい。
共通点は以前は持っていなかった少し歪な人形やぬいぐるみを持っている事。
その奇跡の完治者の行なった治療法を探しているのに出てこないのだ。
今から1週間程前の事だった。
彼方は名前が男っぽいように性格も男っぽい。周りからの印象は明るくてバカ。
女の子の好むようなおままごとやピンクなどは好まず、小さい頃からサッカーやキャッチボールといった男の子の好む遊びや色を好む、そんな子だ。
それなのに…だ。無意識のうちに学校帰りに近くのショッピングモールでピンクのウサギのぬいぐるみを買っていたのだ。
「いつ、の間に…??」
女子高生になり、多少は女の子らしくはなったとはいえ、彼方の趣味では無かった。
慌てて返品した後に家に帰り親に相談してみると、深刻そうな顔で仮面病の可能性を提示された。
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