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少しだけ悲しそうな声だと思ったのは僕の気のせいなのか。
今朝の気を失う前の四宮さんの悲しそうな表情と重なって聞こえた。
「そ、そんな、僕はっ」
「なーにこんなところでイチャイチャしてるんですかぁー葵くーん」
続く僕の声は、四宮さんの背後からの声で掻き消された。
校則を無視した金色に染めた髪。着崩したという言葉が裸足で逃げ出していくような制服。ピアスだらけの耳。リーダーと取り巻き2人の計3人組は僕が絶対に会いたくない人達だった。
「……誰?」
四宮さんが僕に小声で聞いてくる。
「中学の…同級生」
「同級生?ウチ見たことないんだけど」
「四宮さんには近づけなかったと思うよ」
「どうゆうこと?」
「どうって…」
四宮さんには美人だから有名という話ともうひとつ彼女を有名にさせた話がある。
それは…
「コソコソ話てんじゃねえよ!」
「四宮さん、後ろっ」
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