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「……ここの奴らに聞くだけ無駄だぞ。そういうことに関しちゃ、こいつら頑として口を割らねぇからな」
不愉快そうに吐き捨てた五百旗頭に、三笠はあれ、と違和感を覚えた。
その言い方では、以前からこの店を知っているかのような口ぶりではないか。
「五百旗頭さん……もしかして」
「さっさと戻るぞ、三笠」
三笠の追及を遮り、五百旗頭は足早に店を出た。
このカフェは、スタッフ・建物ともに、無駄にセキュリティが厳しい。
異常に口が固く、しかも個人個人が只者ではないスタッフたち。
例え親しい常連客でも、絶対にスタッフの個人情報は教えないし、お客に関する情報でも、知っていることでも、教えない。
だから、もし仮に、三笠が探している晴海というヤツを、このカフェのスタッフたちが知っていたとしても、彼らは、三笠が必死になって探しに来ているとわかっていても、その個人情報を教えることはないだろうし、晴海のことを知らないふりをするだろう。
隣で何かわめいている三笠を無視して、五百旗頭は苦々しげな表情をする。
ホント、メシは美味いのに、
スタッフは食えないヤツらばかりだ、と五百旗頭は内心で呟いた。
~END~
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