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ひっくひっくと泣きじゃくりながら、司と諌山は指切りげんまんをした。
すると今度は眠そうにうとうとし始めたので、直人が司を連れ、執事とともに応接室を出て行った。自室でお昼寝させるようだ。
如月はほっとして長椅子にもたれかかる。
「ああ、ほっとしたわぁ」
諌山がこちらに問いかけの目を向ける。如月は胸の内を打ちあけた。
「司が美羽ちゃんに懐いてくれて良かった」
「私もほっとしました。司君、可愛いですね。目元と顎の感じが実花さんそっくり」
「大きくなってから、惚れちゃ駄目よ?」
茶化して言った如月だったが、諌山がぽかんとして黙り込んだので、遅れて自分の言葉のきわどさに気付いた。
「あ、ごめんなさい、こういうことを言うと重いわよね?」
諌山はぷるぷると頭を振る。照れで顔を赤らめた。
「ううん、いいんです。司君が大きくなっても傍にいるって、未来図をえがいてくれてるんだなって、嬉しくて。ありがとう、実花さん」
「……こちらこそありがとう、美羽ちゃん」
如月は身を乗り出して、諌山に口付けた。
いずれ互いの手に指輪が増えて、三人家族になる。
そんな未計画の恋は、まだ始まったばかりだ。
……終わり。
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