2 タカさんの場合

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その夜、開店してしばらくすると、お客さんたちが次々にやってきた。 次々と言っても、ミハイさん、珠美さん、木戸なんだが。 常連が三人になったところで、どうもミハイさんに妙な対抗意識ができたらしく、開店と同時に来ることが増えた。 まだ毎日ではないし、毎回午後9時ジャストではないが、以前より意識しているらしい。 「私のような高貴なる種族が、辺境の地の下等な獣に一つでも劣るようなものがあってはならん。」 劣ってはいないかもしれないけれど、残念具合もダントツかもしれない。 そして、今夜は何故か来るお客さん来るお客さんが、変なことをいう。 「あらー?泉実ちゃん、なんかいつもと雰囲気違う?」 どこも変えた覚えはないが? 「何かいいことあった?うーん、お詣りに行ったとか?」 神社ってことなら、どこにも行ってない。 俺が出掛けたのは、星裏銀座商店街くらいなもんだ。 「神々しい気をまとっている!そうか、とうとう我が元へ来るきになったか!」 目と脳をどこかの神社で祓ってもらってこい、吸血鬼。
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