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それでも、仕事の後の食事は遅い時間となり、ホテルへ帰る時間もそれなりの時間となる。
「あれ?十子さん、あんな所にお店が。」
高見が、ひょいと狭い路地を覗いた。
それにつられて、十子さんも見る。
「・・・・・・行くぞ、高見ぃ。」
「はいっ!お供しますぅ!」
供もなにも、単に居酒屋の暖簾と灯りの方向に行くだけなのだが。
そこは、外観も古い小さな居酒屋。
入り口近くの止まり木に、何故か烏が止まっている。
その烏が、一声「ぎゃあ!」と鳴いた。
それを、じろりと睨む十子さん。
その眼光に気圧されたか、さらに鳴こうとした烏が黙り込み、止まり木の端によじよじと移動する。
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