4 特別編 十子さんの場合

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女性は、名刺をちらりと見ると、バッグの中から名刺入れを取り出して、わざわざ立ち上がって俺の方に差し出してきた。 「ご丁寧に挨拶していただきまして、ありがとうございます。冴木十子と申します。」 几帳面な挨拶だな。 名刺を見ると・・・県庁!? 「県庁にお勤めの方でしたか。」 しかも、秘書課。 もしかして、秘書課長さんとか?ありえる! 「当県にお越しの際は、お声掛けください。観光名所をご案内します。  これが。」 これ、と言われたのが、隣の男性。 「え、俺がですかぁ?もちろん、十子さんも一緒ですよね!?わあ、楽しみだなあ!どこがいいですかね!」 いや、まだ行くなんて一言も・・・ 「一人でやれ。私は忙しい。」 高見と名乗ったこの男性、微妙に変(ピー)ちっくなにおいがするんだよな。 奥に座っている某吸血鬼に似たにおい・・・・・・
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