最終編 照子ちゃんの場合

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とにかく、お客さんたちでまた集まって飲み食いして騒ぎたい。 そこは、琴子さんも否やはなかったらしく、クリスマスイブの1週間前、17日に決定した。 ケーキは、琴子さんが有名店のものを持ち込んでもいいかと言ってきた。 「居酒屋の兄さんに、パティシエの真似事までさせちまったら申し訳ないだろう?」 まあ、店で売っているようなケーキは、そうそう作ることはないけどな。 スイーツをまったく作れないわけでもない。 途中からやってきて、話に参加した華原さんが、シャンパンとワインを持ち込むと言い出した。 いや、店のものを是非使ってください、店の利益に繋がるんだから。 「じゃあ、乾杯のシャンパンだけ!あとは、泉実ちゃんのお店のお酒を飲むから。もちろん、私とあのバカは最初からワインね。」 自分が飲めないシャンパンを持ち込む華原さん。 あのバカというのは、当然ミハイさんのことなわけで。 話し合いの最中もずっとカウンターの奥の席、いつもの定位置にいたものの、話のごく最初の方で女性たちから黙らされ無視されて、それからずっとふてくされている。
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