最終編 照子ちゃんの場合

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今朝は天候が今一つで、昼になってもどんよりとして薄暗いくらいだった。 しかし、商店街に着くと、それも回復したのか明るくなる。 昨日は珠美さんも木戸も来たから、今日は来ないだろうか。 それとも、年末年始店に来れない分、29日まで通ってくれるだろうか。 そう思いながら肉屋のおばあちゃんのところに寄ると。 「あ、泉実ちゃん、いいとこに来た。」 何だろうとガラスのショーケース越しに近づく。 他にお客さんもいるっていうのに、俺を個人的に呼ぶって何のようだ? 「あんた、若いからねえ。この辺りで、ダンス教室って知らないかい。」 ちょっと待て。 どこからつっこんでいいんだ、おばあちゃん。 確かにおばあちゃんからしたら若いかもしれないが、世間一般からするとそれほど若くない。 あと、何故俺にダンス教室とか聞く。 一度でも俺がダンスに興味があるとか習っているとか、言ったことがあったか? 若いからダンス教室を知っている、その思い込みはおかしいと思う。
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