最終編 照子ちゃんの場合

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「すいません、ダンスってどんな・・・」 「ああ、ちょうどいい!ちょいと、さっきのお客さん!ほら、この人ですよ、この周辺に詳しいの!」 だああああ!待て待て待て! 俺が子供の頃から知ってるからって、遠慮がないな、肉屋のおばあちゃん! ダンス教室なんて知らないからな! 慌てながらも振り向くと・・・ ええと、たぶん俺より上? 上品でどちらかというと丸顔、体型も失礼ながら今までダンスどころかあまり運動をしていないんじゃないかという奥様風の女性が立っていた。 上品な、というのは、どことなく世慣れしていないような、なのに堂々としていてまるでどこかの世界の有閑マダム風な印象だからだ。 「私らは商店街の中のことなら詳しいんだけど、ちょいと外に出ちまうと物知らずで、すいませんねえ。そちらの若い子、泉実ちゃんてえんですけど、私らよりよっぽどお力になれるんじゃないかと話していたとこなんですよ。」 おばあちゃんが一方的にな! 俺に紹介できるダンス教室なんぞない!
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