最終編 照子ちゃんの場合

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慌てて口を押さえて、周囲を見回す。 何事とこちらを振り返った人たちは、さほど興味を見せないまま通りすぎていく。 ほっとしつつも、俺は目の前の女性をどうしたらいいものか、プチパニック。 「あ、天照・・・っ」 「照子ちゃんでいいのですよ。うちの弟まですっかりお世話になってしまって、本当にありがとうございます。」 ああ、スサくんね。 ウカさんタカさんから、有無を言わせない勢いで預けられた少年スサくん、本当は髭もじゃもじゃのおっさんスサくん。 そうだった、スサくん、天照大神様の弟だった。 い、いいのかな、照子さんって呼んでも。 ば、バチとか当たらない、よな? 「ええと、それで・・・て、照子さん。」 「ちょっと匿ってくださると助かります。」 はい?匿う? 誰かに追われているとか? 日本の神様に敵対する相手っているのか? ロキは絶賛監禁監視中だし。 「家出してきたんですのよ。」 「い・・・っ!」 今度こそ先に口を塞いだ俺、偉いぞ! てか、家出!?
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