最終編 照子ちゃんの場合

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結局、俺は肉すら買えず、照子さんに急き立てられるようにして半ば強引に店に帰らされた。 照子さん付きで。 店の中に入ると、照子さんが戸に向かって何やら呪文のようなものを唱えた。 「これで大丈夫。今、この戸は天の岩戸(あまのいわど)並みに重くなりましたから。」 天の岩戸・・・神話で照子さんが閉じ籠ったっていう、あの岩戸か! スサくんがあまりに暴れすぎて、それにショックを受けた天照大神が天の岩戸に籠り、同時に世界が真っ暗になった。 どうやっても出てこないもんだから、アメノウズメという女神が踊って、神様たちが楽しそうに騒いだもんだから、自分がいないのに何をそんなに楽しそうにと少し戸を開けて外を見ようとしたところ、戸を強引に開けられて閉じ籠り終了したっていう、あれか。 そして今、俺の店を天の岩戸並みにしたと。 ・・・・・・・・・待て待て待て!! 戸が開かなきゃ、店ができないじゃないか! 何やってくれてんだ、照子さん!!
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