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それは、祖母ちゃんから受け継いだ店を居酒屋として改装し、その工事で木戸と知り合い、さらにミハイさんが木戸と大揉めして俺への態度を一変させた出来事から一月と経っていないある日。
通りに面していない俺の店は、人に気づかれにくい。
それでも、時たま灯りに気づき、二次会として、または〆の一飲みとして入ってくるお客さんが来る。
店としちゃあ、はっきり言ってなっていない。
いつ潰れてもおかしくない。
実際、店の改装でかなりの貯金を使い、さらにしばらくは赤字続きという有り様だった。
最近はそうでもなくなったが、その理由がどうにもこうにも。
人間じゃないお客さんたちが増えたってことが理由だなんて、誰が信じられる?
もちろん、そんなことは誰にも打ち明けられない。
一人は、祖母ちゃんが生前懇意にしていた大工の棟梁ーーのところに弟子入りしていた木戸という名の若者。
まだ大工見習いだという彼は、実は狼男なのだと判明した。
狼男なのに人畜無害、それどころか棟梁いわく「あいつぁ、ちっとばかりバカだな」だそうだ。
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