最終編 照子ちゃんの場合

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とりあえず、開店前だが俺は照子さんに椅子を勧めた。 カウンター席でもテーブル席でもいいので、とりあえず座ってもらって、それから高天原に帰ってほしいと説得する。 うん、説得する、聞いてくれるかどうかはわからないが。 「お茶くらいしかありませんが。」 「すみません、こんな形で押し掛けてしまって。」 まったくだと思いつつ、さすがに口にしない。 「外の様子では、タカさんもウカさんも探している様子。一旦帰った方が。」 「このまま帰ってなるものですか!」 いやいや、帰ってください。 ここは避難所でも何でもない、しがない人間の一般的な居酒屋です。 高天原の最高神がおいでになられるような場所ではない。 そんなことを言ったら、タカさんウカさんが来ること自体おかしいし、他の人間じゃないお客さんたちも同様なんだが。 「ちょっとうかがいますけれど、あなたもぴちぴちで若い子の方がお好み?」 「はい?」 一体何の話に飛んだんだ?
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