最終編 照子ちゃんの場合

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俺が慌てて止めようとしたら、照子さんの方が笑顔で俺の方を押し止めた。 「うふふ、いいのです。まりちゃんが高天原で療養しているときに、娘のように可愛がらせてもらったのですもの。いいのよ、まりちゃん。存分にお姉さんって呼んでくれて。」 「うん、おばちゃん。」 なんだろう、絶妙にすれ違いを感じるが、どちらも気にしていないという会話。 結構大雑把だな、神様って。 人間みたいに細かいことは気にしないんだろうか。 邪神ロキのせいで消耗しきったまりちゃんが、高天原で療養してたのはついこの間のように感じる。 そのときに照子さんにお世話になったというのも聞いている。 だからといって、こんなに気さくでいいんだろうか・・・いや、照子さんがいいって言ってるならいいのか。 「あのね、まりちゃん。これから、ここで照子さんがちょっと体を動かすから、まりちゃんはこっちにいようか。」 いつも小上がりにいるらしいまりちゃんに、声もかけないでワンツーワンツー始めて驚かれたら困るしな。
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